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概説とは?/ アットローン

[ 95] T's用語概説
[引用サイト]  http://www.netlaputa.ne.jp/~eonw/term/term.html

近年の性に関する概念の細分化に伴ない、馴染みのない用語があふれ始め、それらの「新語」に対するフォローについては、「いずれ正確を期して」ともいっていられない状態になってしまいました。そのため、ここでは意味を広めに取り「とりあえず会話や読書に不便がない程度のもの」の作成を急務として目標にしました。「解説」ではなく「概説」と題する所以であり、今後も折りに触れて改訂してゆくつもりです。なお本資料の初期の作成にあたっては主に、
トランスジェンダーについての基本用語解説集(三橋順子さん・1997年11月3日、一橋大学学園祭「一橋祭」特別企画 公開シンポジウム「心と体のミスマッチ -性同一性障害者の苦しみ-」配布資料)
(生物学的に)性別がない(無性の)、あるいは性とは無関係の意味。転じて、男性および女性のどちらをも性愛の対象としない人、もしくは性欲そのものがない人のこと。
三橋順子さんの造語。男女の中間的なジュエンダー・パターン(性別表現)およびジェンダー・ロール(性役割)を、意図的に指向する人々。
生物学的に男性と女性の特性を合わせ持つ状態、あるいはそのような人たち。間性。半陰陽。二形(ふたなり)。様々なタイプがあり、性染色体・性腺・外性器など身体の性別(sex)が明瞭でない人々を総称する。したがって、外性器のみを合わせ持つ場合や、精巣と卵巣を合わせ持つ真正半陰陽児などにさらに細分される。
T's に関しては、性同一性障害の治療の指針について定められたものをいう。日本においては、日本精神神経学会の「性同一性障害に関する答申と提言」がこれに該当する。他に、アメリカのハリーベンジャミン国際性同一性障害学会による「スタンダーズオブケア (SOC)」(2001年現在、第六版)が有名。
社会学や文化人類学においては、家長権を持つ男子が家族員を統制・支配する家族形態をいう。また、特に日本においては旧民法下における「家」制度を指す用法も多い。いずれにせよ、この場合には権力の所在に注目するのではなく、あくまでも家族形態あるいは社会形態の分類概念のひとつ。フェミニズムにおいては男性優位社会、あるいは男性の社会的優位性の言い換に用いる語。
1.「おかま」「変態」「奇妙な」等の意味の語から、従来のゲイ理論に対する批判をモチーフとして生まれた概念。「同性愛者(ゲイ)」というアイデンティティを持つことが、
などの理由で好ましくないものであるとし、アイデンティティ(自己同一性、自己中心性)の廃止を主張する。したがって、具体的には同性愛者、バイセクシャルのみならず、トランスジェンダーや、異性愛の強制に異議を唱える異性愛者等を広く包括する用法が提案されている。この思想の骨子はいわゆるポストモダン思想に由来する。
しかし現実には、例えば自分を「ゲイ」と規定しなければ「ゲイ」に特有の問題を解く事が出来ず、広い意味での「クィア」にこだわる限り、単に「あらゆる問題はすべて解決されなければならない」という以上のことを何も主張し得ないことになってしまう。具体的な概念(やカテゴリー)を排除する以上、その必然的な帰結として、具体的な問題解決は不可能になる。これは、ポストモダン思想があらゆるもの(こと)を批判しながら結局は何事も解決し得ないことと、論理的にも現実的にも相似形をなしている。
2. なお、ゲイにして『QUEER JAPAN』(勁草書房)編集長の伏見憲明氏は、上記とは異なり、各カテゴリーがそれぞれのアイデンティティを保持しつつ、相互を結ぶ緩い記号として「クィア」の語を用いているようである。この意味で使用される場合には、単なる「セクシャルマイノリティ」の代替語でもなく、ヘテロセクシャルに対しても「開かれた」概念となっている。古くからの「マジョリティ vs マイノリティ」の対抗図式の乗り越えを意図しているという点で、むしろ評価すべき姿勢といえる。
おそらくは、自身もホモセクシャルであった思想家、ミシェル・フーコーの、(ホモセクシャルである自分の欲望は何かを問うのではなく)「懸命にゲイになろう」という提唱に端を発するものと思われる。さらにさかのぼれば、フーコーが影響を受けたニーチェのいう「悦ばしき知識」(gay science)に由来するだろう。このことは、フーコーの発言からも、ほぼ確実と思われる。つまり元々は、「生を肯定する価値の創造」を意味し、同性愛とは特に関係のない概念であった。それをフーコーが結び付けたわけだが、考え方としては正しい。
ただ、近年では「ゲイ」といえばすっかり同性愛の意味になったとはいえ、必ずしもフーコーの意図が知られているとは限らない。むしろ、「ホモが蔑称であるためにゲイといいかえるようになった」というような俗説が流通しているのが現状である。しかし、上記のフーコーの提唱を見ても、「ゲイ」は単なる「ホモセクシャル」の代用語ではありえず、この俗説は明らかに誤りである。「ホモセクシャル」が文字通りセクシャリティを意味する言葉であるのに対して、「ゲイ」は人生に取り組む姿勢の問題であり、両者は文脈によって正確に使い分けられるべきであろう。
女装した男性あるいは性転換した元男性(ゲイボーイ・ニューハーフ)が「ホステス」やショーダンサーを務める店。近年はホモバーの意味で使われる事もある。その場合「ゲイバー」「ホモバー」は、それぞれ「ニューハーフバー」「ゲイバー」等と呼びかえられる。
元々は、文法用語での「性」(例えば、男性名詞等)の意味。そこから転じて、セックス(身体的性別)に対して、社会的、文化的性別の意味に用いられた。いわゆる「男(女)らしさ」や「男(女)の仕事」等の形で意識されるものから、無意識の内に社会規範として規定されるものまで、後天的に身に付けて行く性差の総称。その内容は各人が所属する社会の持つ文化によって異なる。したがって本来セックスとは基本的に別次元のものと定義されていた。
ただし、性自認のように、必ずしも社会的認知を受けず本人の主観に留まり得るような概念も含まれており、必ずしも「社会的、文化的性別」という定義では言い尽くせないのが実状であろう。あえて再定義するとしたら「セックスに含まれない性別」、あるいは、セックスが自然科学の対象となる性別であるのに対して、ジェンダーは社会科学・人文科学が対象とする性別と考えればよい。
なお現在のフェミニズムにおいては、この語は「性別」そのものを指すよりも、性別についての社会的・文化的に形成されている広い意味での「通念」や「知識」、またそれらに基づく言説実践や社会的実践という意味で使用されるようになりつつある。この意味においては、身体的性差についての「知識」も社会過程を経て作られ流通させられているという解釈によって、セックスもジェンダーの一部として扱うことができるとされ、ジェンダーのみならずセックスをも否定する論拠となっている。
※吉永みち子著『性同一性障害』において、一節のタイトルとして用いられているが(P164)、そちらでは特に定義がされていないので、とりあえず神名龍子の造語としておく。しかし、もしかしたら既に他で使われている語かも知れない。
一定料金を支払って女装で過ごすための施設、またはその営業形態の一般名称。更衣室、メイク室、女装で過ごすための空間(サロン)を備え、通常はその他に貸しロッカーや貸衣装等を置き、またメイク(化粧)技術者がいる。
自分自身の性別に対する認識、またはその認識内容。この性自認が3〜4歳頃までに形成され、それ以降は変更不能とする説があるが、性自認は自分(の性別)が何であるかという一種の「価値観」であり、原理的に変更不能ということは有り得ない。ただし、変更し難いものであることは確かである。
恋愛、性交等、性欲の対象となる相手方の性別。性的魅力や欲望を異性に対して感じるのか、同性に感じるのか、そのどちらにも感じるのか、あるいはどちらにも感じないのか(asexual)、自分の性的好みがいずれに向いているのかを示すこと。性対象選択とも。
ICD 10における、性同一性障害の一種。異性の一員として暮らし、受け入れられたいという願望であり、通常、自分の解剖学上の性について不快感や不適当であるという意識、およびホルモン療法や外科的治療を受けて、自分の身体を自分の好む性と可能な限り一致させようとする願望をともなっている。この診断のためには、性転換的な性同一性が少なくとも2年間持続していなければならず、それが精神分裂病のような他の精神障害の一症状であったり、半陰陽の、あるいは遺伝的な、あるいは性染色体のいかなる異常とも関連するものであってはならない(その場合には別の疾患として診断される)。
生物学上の性。解剖学的性差。以前は「社会的・文化的性差」と定義されたジェンダーの対立概念であったが、近年では、ジェンダー概念の定義の変容によってこの対立図式が崩れつつある。(→ジェンダー)
性の越境を誇張しながら確信的に演出する(した)人。マスキュリン性を過剰に強調して演ずる者。女性に限定されない。「ドラァグ・キング」とも。
性の越境を誇張しながら確信的に演出する(した)人。フェミニン性を過剰に強調して演ずる者。男性に限定されない。「ドラァグ・クイーン」とも。
人が性の見直しを最初に始めてから、反対の性の一員として生活するようになるまでの期間。またはその間の性の移行。
異性装者。反対の性の服装をパートタイムで身に着ける人たち。性同一性障害の一種としての両性役割服装倒錯症や、フェティシズムの一種としてのフェティシズム的服装倒錯症等の総称。なお、この用語は精神医学側が作った言葉として、これを嫌うTVは近年、クロスドレッサー(Cross-Dresser)と自らを名付けている。
ただしこの語は、かつて DSM に規定されていたこともあり、この語の成立の経緯を勘案すれば、意図的・自己選択的に「男でもなく、女でもなく」あるいは「男でもあり、女でもあり」という選択をした人の場合には、トランスジェンダーの概念には含まないと考えるのが妥当であろう。
元は、松原留美子(MTFTGの女優・歌手)に対するマスコミが命名した語。和製英語。現在では女装した男性あるいは性転換した元男性を指し、特に接客業(ホステス)、性風俗産業、ショービジネス等に従事している人達に用いられる。
アメリカからの英文メールに含まれる謎の言葉。前後の文脈、および「nu」が「new」と同じ発音であることから察するに、おそらく日本で言う「ニューハーフ」と同じような意味で使われているらしい。
男女間では、脳の機能や構造に性差が存在する事が確認されている。例えば女性の月経を促進するホルモン分泌のコントロールや、左右の大脳半球をつなぐ脳梁の形状の違いなどがこれに当たる。
性同一性障害当事者の一部には、性同一性障害が「精神疾患」である事を否定し、脳の性差を根拠とする先天性の身体的疾患であると主張する意見もある。確かに、性同一性障害の当事者の脳梁の形状についてある種の計測を行なうと、MTF では女性寄り、FTM では男性寄りの特徴が見られるとの研究結果もある(特に MTF に研著である)。しかしこれはあくまでも平均値を取った場合の話であって、個々の当事者を見れば、通常の男性と変わらない脳梁を持つ MTF や、通常の女性と変わらない脳梁を持つ FTM が存在する事も、また明らかである。性同一性障害の根拠を野の構造に還元する考え方は、必然的にこのような当事者を「性同一性障害」の範疇から除外する事になる。
また人間の場合、脳の性分化は胎児の時期に起こるとされており、その際に母胎に強いストレスが加わると、男性の脳分化に必要なホルモンの分泌が不充分になるという研究結果がある。この場合、男性の脳の性分化が妨げられるわけだが、旧東ドイツにおいては、第二次大戦中に胎児だった男子のホモセクシャルの比率が高いという統計結果も存在している。これを踏まえて考えるならば、脳の性差は「性自認」に関しては無関係だといわざるを得なくなる。仮に、脳の性差が個人のセクシャリティの在り方に影響を与えるとしても、それが同性愛として現れるか性同一性障害として現れるか、その区別に関する研究は、これまでのところ存在していない。
したがって現状では、現在の科学的・医学的知見を総合的に判断する限り、性同一性障害の原因を脳の構造に一元的に還元する考えは、合理的な根拠に欠けるといわざるを得ない。
主に性的興奮を得るために異性の衣服を着用すること。性欲喚起と明らかに結びついていることと、いったんオルガズムが起こり性欲喚起が止めば、衣服を脱いでしまいたいという強い欲望が起こることによって、性転換願望症の服装倒錯とは区別される。性転換願望者に既往の症状として述べられる場合もあり、この場合には性転換願望症の発展の一段階として考えられている。
一方、欧米においては社会問題化し、通常の犯罪より重い刑を課す例も増えつつある。キリスト教圏では女装や性転換が宗教的道徳に反するものと考えられているため、T's に対しても具体的に生命の危険を感じるようなヘイトクライムが起こっており、先進国においてはこれを禁じる具体的な法整備が進められているほどである。また、南米等では警察官までがヘイトクライムに荷担するという未確認情報もある。
広義には同性愛者。狭義には男性同性愛者。略形のホモは主として侮蔑的ニュアンスを含んで使われることがあり、そのため主に当事者によって「ゲイ」と言い換えられる傾向にある。ただし本来は、「ゲイ」を単なる「ホモセクシャル」の代用語と認識するのは誤解である。(→ゲイ)
男性同性愛者の集まる酒場。近年、ホモセクシャルをゲイと呼びかえるところから「ゲイバー」と呼称する事もあり、やや混乱ぎみの用語。一般客も入る事が出来るところと、男性同性愛者以外はお断りの店がある。前者はその方針から「観光バー」とも呼ばれる。
異性の一員であるという一時的な体験を享受するために、生活の一部で異性の服装を着用しているが、より永続的な性転換あるいはそれに関連する外科的な変化を欲することは決してないもの。本障害は、服装を交換するにさいして性的興奮をともなっておらず、フェティシズム的服装倒錯症と区別されなければならない。
ホモバーに対して、レズビアン向けの店。一般にホモバーよりも閉鎖性が強い傾向があり、「観光バー」は少数。
早いもので、この「T's 用語概説」を設置してから2年が経過した。昨年のやはり 11月に行った改訂からでも、1年が経過しようとしている、ということに、作業を終えてから気がついた。特に意識しているわけでもないのに、11月になると手を加えたくなるのが不思議である。
今回も、その間の状況の変化や、私自身の考察の結果などを反映させるため、改めて全文を洗い直し、すすぎ、脱水し、乾燥させた。幸いにも縮むことなく、むしろ内容はわずかながらも増えている。ついでに体裁もまったく別物といえるほどに変更してみた。
私自身の本音を言えば、個人的にはこうした専門用語が増えることは、決して歓迎しない。専門用語が増えればその分だけ、非 T's にとって、理解し難い世界になって行くように感じられるからである。しかし、これらの用語をまったく使わないとしたら、それはそれで支障が出ることも事実である。
仕方がないので、ここ1年余りの間に非 T's の読者が増えた「ジェンダー素描」などは、出来るだけこうした用語の使用を減らすと同時に、文中で使用した用語は、1年ほど前からこの用語集で参照できるようにしている。非 T's および、比較的最近になってこの世界を知った当事者の方々の、理解の一助になれば幸いである。

 

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